「始めるのに、全部でいくらかかりますか?」
私の答えは、「売り方で決まります。自宅前や、いまの車で週末だけなら、焼き芋機一式と講習で10万円台です」。
私は家族で焼き芋を売りながら、業務用の焼き芋機を作ってきました。シリーズ累計300台超の焼き芋機を全国のオーナーさんに使っていただき、いろいろな始め方を見てきました。相場を言い切る代わりに、費用の内訳と、売り方でどこが変わるのかを書きます。内訳が分かれば、金額は自分で出せます。
最小構成の内訳:焼き芋機一式と講習、あとは芋と炭
いちばん小さい始め方は、自宅の敷地や自分の店先で、週末だけ売る売り方です。場所代はゼロ、車も買いません。かかるのは、講習と焼き芋機一式、それに芋と炭です。保健所への届出は0円です。
| 項目 | 金額の目安 |
|---|---|
| 食品衛生責任者の講習(1日) | 1万〜1万2千円 |
| 保健所への届出 | 0円 |
| 焼き芋機一式 | 私のスターターキットなら94,800円(税込・送料込・1年保証) |
| 初回の芋と炭 | 芋はキロ400〜500円ほど。1日分の20kgでも8,000円〜1万円。炭は1回500g、100〜150円 |
全部そろえても、10万円台に収まります。壺は1台15万円〜で、私の焼き芋機1台と同じ量を焼くなら2台で約30万円。その3分の1ほどです。キッチンカーなら、10分の1ほど。
焼き芋機一式には、火おこし器・火消し壺・送風機・トング・革手袋、焼き上がりを保温する石を敷いた鍋まで、焼くのに要る道具が入っています。自分で足すのは、袋と釣り銭、看板、量り売りなら秤くらい。炭とお芋を用意すれば、届いた週末から練習を始められます。炭は10kg入りの箱で買うと20回分なので、開業時の負担としては小さい項目です。
届出と講習の手続きは、自治体で窓口や様式が違います。進め方は届出・資格・手続きの記事にまとめました。焼き芋機を選ぶときに見るところは、業務用焼き芋機の選び方に書いています。
売り方で変わるのは、場所代と車
売り方で違ってくるのは、場所代と車代です。
- 自宅の敷地や自分の店先で売る:場所代ゼロ。交渉もいらないので、最初の一歩に向きます
- お店の店先や駐車場の一角を借りる、マルシェやイベントに出る:場所代は持ち主と相談。地域の小さなマルシェなら、出店料は数千円からです。場所の探し方は出店場所の記事に書きました
- 車で運んで売る:いま持っている車なら、車の費用はゼロ。荷台や後部にスペースがあれば、焼き芋機を積むだけです。これから中古で用意するなら、20万円台からが目安。車の話は軽バンで始める記事にまとめています
焼き芋機と講習はどの売り方でも共通なので、売り方はあとから変えられます。自宅前で始めて、売れる場所が見えてからイベントや車に広げた方が多いです。
最初には、いらないもの
焼き芋を売るために、私が最初には勧めないものがあります。
- 壺:1台15万円〜。一度に焼けるのは8〜15本なので、私の焼き芋機1台と同じ量を焼くなら2台で約30万円
- 壺を運ぶ専用のリヤカー:25万円
- キッチンカー:中古で100万円から、新車で250万円から
- 焼き芋屋の開業塾:66万円
否定したいわけではありません。壺の焼き芋はおいしいですし、キッチンカーは焼き芋スイーツまで売るなら要る道具です。ただ、始める前にここへ大きなお金を入れると、小さく試す余地がなくなります。まずは小さく始めて、売れる場所が見えてから広げる。キッチンカーは、そのあとの選択肢です。
回収は、金額ではなく日数で
焼き芋機の代金がいつ戻るかは、何円売るかより、完売の日が何日あるかで考えると分かりやすくなります。1台をフル稼働させて、焼いた分が完売した日の手残りは、目安で23,000円。この日が5日あれば、焼き芋機の代金は戻る計算です。もちろん完売の日ばかりではないので、開業試算シミュレーターに自分の売価と仕入れ値を入れて確かめてみてください。収支の式は、焼き芋屋は儲かる?の記事に書きました。始めてからは、仕入れと炭代をオーナーアプリの経費メモ(無料)に入れておくと、その日の利益が出ます。
あとでいいもの、削らないもの
看板やのぼりは、売れ始めてからで間に合います。最初は手書きの看板で始められますし、お客さんの反応を見てから作ったほうが良いものができます。
売り場のまわりも、大げさな設備は要りません。火消し壺は一式に入っているので、売り場を整えるだけで十分です。
削らないのは、芋の質です。焼き芋はリピートで成り立つ商売なので、安さだけで選んだ芋で「おいしくない」の第一印象を残すと、あとから取り返すのが大変です。
補助金を使うなら、順序は「採択が先」
補助金で焼き芋機を買う方もいます。使うなら、順序にだけ気をつけてください。買ってから申請しても、補助金は下りません。申請して採択(交付決定)を受けてから、発注する。この順番です。申請には見積書が要ります。工房では申請用の見積書と、あとの実績報告に使う納品書・領収書を発行していて、採択された実績もあります。制度は地域と年度で内容が変わるので、対象になるかは自治体や商工会議所などの窓口で確かめたうえで、お問い合わせからご相談ください。
開業資金の質問は、内訳で見ると「いくら必要か」から「最初にどこまでやるか」という、自分で決められる問いに変わります。開業までの手順は、焼き芋屋の始め方|7ステップにまとめています。
※ 記事中の費用は時期・地域・調達方法で変わります。
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